無題

そう、接点が見あたらないのだ。
自分と他人の境界線や社会との交流点、自然と自分の関係性、自分のルーツ、教育と環境。
それらに現実的な感覚めいたものがなんらかもてれば、自分の所在もちょっとは確かになるんだろう。
もやもやした霧の中を手探りで歩くような、不確かで頼りない感覚。
水の中で息を止め続けて深く潜っていかなければならないような、苦しく圧迫された肺。
脳は考えることを否定して、なるべく現状に任せようと行動を制限する。
行動こそが唯一の解決であることをカラダが知っているかのようだ。
一杯のウィスキーと軽いタバコを吸いながら、暮れはじめた西の空を遠くに眺める。
まずは伸びた爪を切ろう。